【話題の本】『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』

レビュー

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【話題の本】『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』

[レビュアー] 渋沢和彦

■何もしなくていい自由

 掘っ立て小屋や河川敷での生活が記される。平成21年、山梨県の雑木林にわずかばかりの土地を購入し、自らの手で小屋を建てた。湧き水をくみ、薪(たきぎ)を拾い、ダルマ型ストーブで暖を取る。ソーラー発電で照明やノートパソコンの電源をまかない、収入はときどきするアルバイトで得る。神奈川県内の河川敷にも土地を購入してテントを張り、行ったり来たり。完全な自給自足ではなく、「生活の全体を質素にしたい」だけなのだという。

 33歳の著者は東京大哲学科卒業後、慶応大の大学院を修了。人間関係を築くのが苦手で、人と関わることなく生きるために人里から離れたそうだ。外部とはパソコンのメールを通じてやりとりする。

 「僕は欲望を追求してなんでもできる自由よりも、極めて基本的な労働以外に何もしなくていい自由を好む」などと、意味深く哲学的なことばであふれている。編集を担当した同文舘出版の竹並治子さんによると「反応は賛否両論さまざま」だとか。4年前に同社が出版した前著『スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方』は話題を集めて韓国でも翻訳出版された。本書についても早速翻訳のオファーが届いているという。(高村友也著/同文舘出版・1550円+税)

 渋沢和彦

産経新聞
2016年1月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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