動物のレプリカ(複製)を製造している工場で働く往本は、ある日、社内でシロクマにでくわす。精巧にできた原寸大の製品だと思ったのだが、それなら動くはずがない。あわてて逃げたけれど、工場長に呼ばれて、シロクマについて調べるように指示される。ところが調査を進めるうち、自分自身を目撃してしまう。〈おかしい。なぜおれがもうひとりいるんだ。あれはだれだ〉
なにが現実なのか。レプリカとは何なのか。おれは正気なのか。ついには物語世界すら溶けだして読み手を翻弄。ポップで型破りな新潮ミステリー大賞受賞作。(新潮社・1400円+税)
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2016年1月31日 掲載
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