「国の年金は信用できない!」で、個人年金はやったほうがいいの? 荻原博子さんに聞く

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10年後破綻する人、幸福な人

『10年後破綻する人、幸福な人』

著者
荻原 博子 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784106106521
発売日
2016/01/18
価格
821円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「国の年金は信用できない!」で、個人年金はやったほうがいいの? 荻原博子さんに聞く

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経済ジャーナリストの荻原博子さん

「年金制度は破綻している」「将来、年金はもらえない」といった主張を耳にすることがあります。その真偽はともかくとして、公的年金への不安を持つ人を対象に、さまざまな「個人年金」商品が販売されています。

 果たして、こうした商品を購入することは将来への安定につながるのでしょうか。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは、新著『10年後破綻する人、幸福な人』で、個人年金のリスクについて注意を促しています。以下、同書をもとに荻原さんの解説をご紹介してみましょう。

 ***

■2種類の個人年金

 まず、個人年金には2つのタイプがあります。「月々○万円払えば、将来○万円もらえます」という、あらかじめ将来もらえる額が決まっているオーソドックスなタイプと、変額個人年金といって運用次第でもらえる金額が変わるタイプです。

 前者のタイプは、「40歳で月2万円ずつ支払えば、65歳から10年間、月5万5000円もらえます」という感じの個人年金。

 計算してみると、払う額は600万円、もらう額は660万円。

 低金利なので、1割も増えたらうれしいと思うかもしれません。

 けれど、この考え方には、時間軸が欠けています。

 今と25年後では、貨幣価値がかなりちがう可能性があります。

 このタイプの個人年金は、時間というリスクを抱えているので、1割増えた程度ではわざわざ入る価値がないのです。

 しかも、今の個人年金の運用利回り(予定利率)は、ほとんどが1%前後。どんなに世の中の金利が上昇しても、いったん入った個人年金の運用利回りは最後まで変わらないタイプがほとんどです。

 運用利回り1%なら、銀行預金よりもずっといいと思う人もいるでしょう。

 けれど、保険や個人年金は、1万円の保険料を支払うと、そこからまず保険会社の経費が引かれ、何らかの保障料が引かれ、残りが1%で運用されるので、払った1万円がなかなか1万円以上に増えていかないのです。

■解約には応じないほうがトクなことも

 ただし、すでに以前から個人年金に加入している人は、そのまま入り続けたほうがいいかもしれません。

 1993年以前の加入なら、運用利回りは5・5%。1994年3月までは4・75%、96年3月までなら3・75%と、かなり高いので、ずっと加入していれば大きく増えていくからです。

 そういう人は、解約を勧められても絶対に応じないことです。

■手数料を見逃してはいけない

 では「運用次第で、将来の年金が増える」という変額個人年金はどうでしょう?

 変額個人年金は、預かったお金を、株や債券などで運用していく保険商品。運用次第で大きく増える可能性もありますが、逆に目減りしてしまう可能性もあります。

 こう書くと、チャンスはフィフティー・フィフティーという気がしますが、そう思ったなら大間違い。実は、減る可能性のほうが大きい。なぜなら手数料が高いからです。

 たとえば、某変額個人年金保険の場合、加入する時点で契約時の手数料として4%を支払います。さらに、加入し続けている間は、積立金に対して保険関係費用年1・4725%、運用関係費用年0・486%、純保険料年1%が引かれます。

 つまり、この3つを合計すると、保険運用中に毎年約3%が手数料として引かれていくということです。

 これだけの手数料を払いながら年金を増やしていくなら、年5%以上の利益をコンスタントにあげられる運用をしてもらわなくては、物価の上昇についていけないでしょう。

 確かに、相場次第で増える可能性もありますが、高い手数料を考えると減るリスクのほうが大きい。

 ***

 もちろん、予想を上回る運用実績になる可能性もあるでしょうし、あくまでも最終的には個人の判断です。ただし、個人向け年金に限らず、どんな金融商品においても「手数料」などの経費を軽視しないように、と同書の中で荻原さんは忠告しています。

Book Bang編集部

Book Bang編集部
2016年2月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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