『堺屋太一が見た 戦後七〇年 七色の日本』 堺屋太一著

レビュー

0
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

戦後七〇年 七色の日本

『戦後七〇年 七色の日本』

著者
堺屋太一 [著]
出版社
朝日新聞出版
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784022513311
発売日
2015/11/20
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『堺屋太一が見た 戦後七〇年 七色の日本』 堺屋太一著

[レビュアー] 牧原出(政治学者・東京大教授)

 かつては言論界に一石を投じる官僚がいたものだ。とりわけ行政統計を使って経済を診断・予測する官庁エコノミストは、社会評論家ともなる。そして「新中間階層」と呼ばれた新しいホワイトカラーが大量に登場した高度経済成長後、こうした企業人を中心とした分厚い知識層が、彼らの著書の読み手だった。

 堺屋氏はその時代を駆けぬけた。未来を予測し過去を発掘する斬新な著作。原油の輸入途絶を予測した小説『油断!』や、世代に社会を映し出す『団塊の世代』、NHK大河ドラマの原作『峠の群像』。

 そして通産省出身の社会のプロデューサー。大阪万博の構想を発案・実現し、田中角栄の『日本列島改造論』の執筆に参画し、上海万博の企画を中国に持ち込んだ。小渕恵三首相から経済企画庁長官に任命されるし、橋下徹と大阪都構想を応援もする。

 とにかく堺屋氏は前向きだ。そこから未来の可能性をつかみとる。ふとした出会いがアイデアを生む。異分野へと軽々と越境する跳躍力があの頃の多くの読者を揺さぶった。閉塞感とは無縁の生き方を今また読み直したい。(朝日新聞出版、1600円)

読売新聞
2016年2月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加