『地名の楽しみ』 今尾恵介著

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地名の楽しみ

『地名の楽しみ』

著者
今尾 恵介 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
歴史・地理/地理
ISBN
9784480689528
発売日
2016/01/06
価格
929円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『地名の楽しみ』 今尾恵介著

[レビュアー] 清水克行(日本史学者・明治大教授)

 みなさんの地元は大丈夫だろうか? 平成の大合併以降、こちらが赤面してしまうような「キラキラネーム」の自治体名がやたらと目につくようになった。一方で、震災直後から「クボという地名は地盤が弱くて危ない」といった無責任な情報もよく耳にする。

 本書には、そうした現在進行中の地名をめぐる笑えない逸話や、地名の由来についての確かな情報の数々が満載されている。著者は、珍妙な新地名と引き換えに伝統ある地名が消滅していることに警鐘を鳴らす。また、そもそも当て字が非常に多い日本の地名を、字面だけで「軟弱地盤地名」などと呼ぶこと自体がナンセンスだと、みごとに俗説を論破している。取り上げられた地名は全国におよび、読めば誰もが「あの身近な地名の裏にはこんな歴史があったのか!」と、一度ならず膝を打つことになるだろう。

 数百年にわたって守られてきた「地名」に対する敬意やそれに付随する教養を、今ほど忘れ去ってしまった時代はないかもしれない。高校生にも読める本書は、それらを取り戻すための最良の手引書である。(ちくまプリマー新書、860円)

読売新聞
2016年2月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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