『玩具都市弁護士』
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明文堂書店石川松任店「ライトでハードな、ハードボイルド・ファンタジー!」【書店員レビュー】
[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)
異世界、あるいは特異な環境を舞台にしたミステリ作品(小説、映画、ゲームなど、多くの媒体で)は、最初からその特異な世界が明示されているものから、結末に明かされるためにそれを言うことがネタバレになってしまうものまで、数多く存在する。前者に属する本書は、人間とAI機能が搭載された玩具が共生するスラム街的な都市《バッバ・シティ》を舞台に、現在はパン屋を営んでいる元弁護士と謎の少女がいくつもの事件に向き合っていく、という可愛らしい外見とは裏腹にとてもシリアスな物語だ。
そしてこういう特異な世界が設定のミステリで気になるのが、その世界の作り込みと、その世界であることのミステリ的な必然性だろう(個人的には、そういう世界なのだと割り切って楽しむような大雑把な作品も大好きなのですが・・・・・・)。その部分、本書はかなりしっかりしているように思えた。多くの人に勧めたくなる、ライトでハードな、ハードボイルド・ファンタジーだ!