不倫経済学 [著]門倉貴史

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不倫経済学

『不倫経済学』

著者
門倉 貴史 [著]
出版社
ベストセラーズ
ISBN
9784584124970
価格
896円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

不倫経済学 [著]門倉貴史

[レビュアー] 碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)

 最近、週刊誌で目立つのが、「死ぬまでセックス」みたいな特集記事だ。今どきの高齢者は元気だから、関心度が高いのかもしれない。しかし、こんなに煽って一体何をさせたいんだ?

 そして本書である。ベッキー、育休議員から文枝師匠まで不倫騒動が続く昨今。一瞬、不倫問題の収支決算かと思ったが違った。経済学者である著者が、“熟年性愛市場”をマジメに分析し、試算しているのだ。

 たとえば、「熟年離婚」の市場規模は年間約4000億円。中高年男性の「不倫」で動く総額は5兆5000億円。また、「性風俗」産業は年間約5兆円だが、うち3兆円は中高年の需要だという。さらに、「老いらくの恋」関連支出が15兆円。これらの総額は約24兆円にも達する。確かに「死ぬまで」の勢いだ。

 細かい数字にも興味深いものがある。専業主婦は、不倫の“メリット”が金額換算で年間19万円を超えると、夫を裏切って不倫に走るそうだ。確かなデータと納得のいく計算法で割りだされた金額だが、これって高いのか安いのか。

 著者によれば不倫は景気と密接な関係があり、不景気のほうが増加する。加えて、スマートフォンやインターネット、SNSなどの普及も不倫をサポートしている。本書を読んで、日本経済に寄与すべく不倫という名のバスに飛び乗るか。それとも冷静になってバスから降りるか。そこは各々自己責任ということで。

新潮社 週刊新潮
2016年3月24日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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