『少年の名はジルベール』 竹宮惠子著

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少年の名はジルベール

『少年の名はジルベール』

著者
竹宮 惠子 [著]
出版社
小学館
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784093884358
発売日
2016/01/27
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『少年の名はジルベール』 竹宮惠子著

[レビュアー] 長島有里枝(写真家)

 BLという言葉が生まれるずっと前に発表された『風と木の詩』は、竹宮さんの代表作であり、少女マンガの歴史を変えた超名作。今も多くの人に愛されている。その主人公の名を冠してはいるが、本書はそれ以前の、マンガで世界を変えようと本気で考えていた少女たちのおはなしだ。

 1970年、マンガ家になるべく上京した竹宮さんは友人の増山法恵さんに誘われ、同じ「24年組」の萩尾望都さんと同居を始める。やがてそこは「大泉サロン」と呼ばれ、ファンや漫画家志望の若い女性たちの溜(た)まり場となった。欧米の映画や文学のこと、少女マンガが描く恋愛の物足りなさ、男性作家より原稿用紙一枚の単価が安かったり、男性編集者が作品の良し悪(あ)しを決めることへの不満などが語り合われていたというからすごい。確かに、わたしたちが美しいと思うものは、ときに力ある男性の関心がないというだけで「ボツ」になる。そんなとき、自分の作ったものを引っ込めるのではなく、互いに支え合って信念を貫いた彼女たちは、まるで自身の描いた主人公のように凛々(りり)しく逞(たくま)しいのだった。(小学館、1400円)

読売新聞
2016年3月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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