『日本人はどこから来たのか?』 海部陽介著

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日本人はどこから来たのか?

『日本人はどこから来たのか?』

著者
海部 陽介 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163904108
発売日
2016/02/10
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『日本人はどこから来たのか?』 海部陽介著

[レビュアー] 柴田文隆(読売新聞社編集委員)

 5万年前にアフリカを旅立った現生人類の祖先は、ヒマラヤの南北に分かれて東進。大陸の端の古本州島(本州・四国・九州が一つだった)には、3万8000年前、対馬の海峡を渡って来たと考えられる。少し遅れて台湾~沖縄ルート、樺太~北海道ルートからも入ってきた。

 この頃の地球は寒冷で、海面が今より80メートルほど低かったとはいえ、対馬、沖縄両ルートの旅は優れた航海術なしには成立しなかった。我々の祖先はチャレンジ精神に富んだ海の人でもあったわけだ。

 そして古本州島全域に進出し、台形様石器や刃部磨製石斧(せきふ)、環状ブロック群(環状集落)など、他のアジア地域には見られない独自の後期旧石器文化を開花させた。

 著者は国立科学博物館人類史研究グループ長。人骨化石の形態学やDNA研究の最新成果を踏まえ、大胆な考えを展開する。列島に来た人々は、ヒマラヤを迂回(うかい)した2集団が東アジアで再会し、混じり合って形成されたと見る。

 アジアにも、ヨーロッパのネアンデルタール人、クロマニョン人に負けないダイナミックな人類史があったのだ。

 文芸春秋 1300円

読売新聞
2016年3月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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