【話題の本】愛の籠もった小6生の自由研究 『文房具図鑑』山本健太郎著
[レビュアー] 永井優子
ページから伝わる熱にひと目で引き込まれてしまった。小学校6年生の著者が1年がかりで作った100ページ近い手書き図鑑。夏休みの自由研究として学校に提出された。ボールペン、シャープペンシル、消しゴムなど168品が実寸大のイラストと鋭いレビューで紹介されている。もちろん書き味見本もあって実用的。だが、ジャンル分けはされず思いつくまま、文字もまっすぐ書かれていない。定価3兆円!という自由さだ。
行きつけの文具店主に見せたことからウェブメディアに取り上げられ、テレビの情報番組にも出演。複数の出版社から書籍化の申し出を受け、雑貨作りなども手掛けるいろは出版から3月25日に発売された。編集担当の河北亜紀さんは、「どれだけ原本のまま残せるか苦心した」という。脚注で商品ごとに文具メーカーからのコメントを付けた。「その文具のいい所から悪い所まで最強解説」と副題にあるとおりの辛口評には手直しの要望もあったが、「個人的な見解です」と加筆するなど、修正は最小限に抑えている。
発売前からの問い合わせも多く、初版2万3000部から、発売4日後に1万部増刷が決まった。(いろは出版・1500円+税)
永井優子