『気まぐれコンセプト完全版』 ホイチョイ・プロダクションズ著

レビュー

4
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

気まぐれコンセプト 完全版

『気まぐれコンセプト 完全版』

著者
ホイチョイ・プロダクションズ [著]
出版社
小学館
ジャンル
芸術・生活/諸芸・娯楽
ISBN
9784093592123
発売日
2016/02/16
価格
2,808円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『気まぐれコンセプト完全版』 ホイチョイ・プロダクションズ著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

日本の変遷が見える

 こんなことがあったなあという気分でいっぱいになる。でも、それだけにとどまらない。本書は、ホイチョイ・プロダクションズが漫画雑誌で1981年から35年間連載してきた4コマ漫画、「気まぐれコンセプト」のベストセレクションだ。それに加えて、現代の目線からみた過去の漫画の解説(これが意外と面白い)や、各年の世相紹介等も盛り込まれている。

 たとえば、84年のベストCMが「私はコレで会社を辞めました」で話題になった禁煙パイポのCMだったとか、89年末に実は日本の株価が最高値をつけたことなどもしっかり説明されている。

 ホイチョイという名前を聞いただけで、特にバブル期に青春を過ごした世代は、感慨ひとしおかもしれない。いわゆるクリエイティブ集団だが、世相を切る4コマ漫画だけでなく、大ヒット映画「私をスキーに連れてって」の制作など、若者文化に多大な影響を与えてきた。

 その時々の流行(はや)りが描かれた4コマ漫画で、いわゆる下ネタも多いのだが、こうやって35年間を1冊にまとめてみると、また違った側面が見えてくる。何が変わり、何が変わらなかったのかが一目瞭然になってくるからだ。

 特にこの35年間は、日本はバブル景気に沸き、その後は、その崩壊と長い低迷期と、かなりの激動を経験してきた。この間、携帯電話の大きさは、すさまじい位に変わった。

 レインボーブリッジが開通したのは、93年。今から振り返るとすでにバブルは崩壊していたのだが、しかしこのあたりまでバブルをひきずっているような絵柄だ。いわゆる「ワンレン」の髪型の女性もずいぶん登場していて、まだ一時的な景気後退位にしか、皆が感じていなかった様子がよくわかる。

 バブルを挟んで、日本がどう変わってどう変わらなかったのかを、改めて考えさせられるし、そのための情報も満載。とても贅沢(ぜいたく)な本だ。

 ◇ほいちょい・ぷろだくしょんず=漫画や雑誌記事の企画編集・出版などを手掛けるクリエイターズ集団。

 小学館 2600円

読売新聞
2016年4月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加