武満徹・音楽創造への旅 立花隆 著

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武満徹・音楽創造への旅

『武満徹・音楽創造への旅』

著者
立花 隆 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163904092
発売日
2016/02/20
価格
4,320円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

武満徹・音楽創造への旅 立花隆 著

[レビュアー] 大原哲夫(編集者)

◆100時間の語りの核心

 立花隆は生前の武満徹(一九三○~九六年)に百時間を超えるインタビューを試み、一九九二年から約六年間、『文学界』に「武満徹・音楽創造への旅」を連載していた。この連載を読むために、雑誌を欠かさず買っていた人も多いのではないだろうか。評者は図書館で連載を複写したが、紙の山は十センチになったろうか。書籍化が待たれていた。連載終了から十八年、もはや諦めていたところ、武満没後二十年、単行本刊行の朗報だ。

 二段組み七百八十二ページと、ずしりと重い本だが、ジョン・ケージをはじめ、多くのアーティストとの交流など、読み出したらやめられず一気に読了。立花という希有(けう)の聞き手を得て、武満は饒舌(じょうぜつ)と思えるほどに語り、その言葉は彼の多くの著作の晦渋(かいじゅう)な筆致に比べて、極めてわかりやすい。さらに立花は関係者へのインタビューを補足し、書籍・雑誌の関連事項を渉猟、戦後の音楽状況を綿密に調べ上げ、作曲家の創造の核心に分け入る。

 全篇を貫いているのは、立花の武満に対する敬愛と武満の音楽をより深く理解したいという探究心。「音は私をつらぬいて世界に環のようにつづいている」と武満は述べていた。武満は音楽に何を求め、何を伝えたかったのか。読後はCDで武満の曲を聴き直さねばなるまい。これから武満を聴いてみようと思う人にも、本書は最良の手引書となるだろう。

 (文芸春秋・4320円)

<たちばな・たかし> 1940年生まれ。評論家。著書『脳死』『天皇と東大』など。

◆もう1冊 

 『武満徹全集』(全五巻・小学館)。管弦楽・器楽・合唱曲から映画・舞台音楽まで、武満の全曲を収めたCD全集。

中日新聞 東京新聞
2016年4月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

中日新聞 東京新聞

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