『子の無い人生』 酒井順子著

レビュー

6
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子の無い人生

『子の無い人生』

著者
酒井 順子 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784041015568
発売日
2016/02/25
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『子の無い人生』 酒井順子著

[レビュアー] 青山七恵(作家)

 三十代未婚の友人が、最近職場の五十代既婚女上司からこんなことを言われたそうだ。「あなたみたいに結婚も子育てもせずふらふら楽して生きてる人は、結局老後、私の孫たちの税金で養われるのよ。そんなのずるい、不公平よ」

 同じく三十代未婚の私だが、今時そんな無神経な発言が職場で横行しているとは、怒りを通り越して驚き呆(あき)れた。ところが本書を読んだあとでは、それも確かに一つの現実であるなあとハッと我に返ってしまう。

 女性の人生の方向性は、いまや結婚経験ではなく子どもの有無により大きく左右されるのではないか? という見地から書かれた本書は、ママ社会との関係から現代の養子事情、老後の生活や墓問題などを通して、今の日本で「子無し」という生き方がどんな見通しを持っているのか、さらりとしたユーモアも交えて冷静に考察していく。

 まだ「ふらふら」している身としては、正直ちょっと、耳が痛い。とはいえ漠然とした将来への不安とモヤモヤを抱える「子無し」族に、いつか下す決断のための準備運動を促してくれる一冊だ。(KADOKAWA、1300円)

読売新聞
2016年4月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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