【児童書】『穴の本』ピーター・ニューエル著、高山宏訳

レビュー

7
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穴の本

『穴の本』

著者
ピーター・ニューエル [著]/高山宏 [訳]
出版社
亜紀書房
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784750514642
発売日
2016/04/12
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【児童書】『穴の本』ピーター・ニューエル著、高山宏訳

[レビュアー] 桑原聡(産経新聞社 文化部編集委員)

■繰って楽しい仕掛け絵本

 ぜひとも子供をひざにのせて読み聞かせをしてやってほしい作品だ。タイトルが示すように本書はページの真ん中に直径7ミリの穴があいている。これはトム・ポッツという少年が誤って銃を撃ったためにできたものだ。ポッツ君の自宅から飛び出した弾丸は、ボイラー、自動車、水槽、紳士がかぶっている山高帽、脱走した山猫、スイカなどいろいろなものを貫通し、ついにはある家の奥さんが菓子作りのために用意していた氷の塊にぶつかってぺしゃんこになってしまう。

 締めのテキストがブラックなユーモアをたたえている。《トム・ポッツ君ほんとに運良し/そう たまうった坊やのこと/ひょっとしてそのたま くるりと世界一周/坊や うちころしてた かも》。弾丸は地球を1周して撃った本人のところに戻ろうとしていたに違いない。高山宏さんのテンポが良くとぼけた味わいの訳は声に出してこそ楽しめそう。

 こんな物騒で楽しい絵本を作ったのは19世紀アメリカの人気絵本作家だって。妙に納得。(亜紀書房・1600円+税)

 桑原聡

産経新聞
2016年4月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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