『ミッドナイト・ジャーナル』 本城雅人著

レビュー

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ミッドナイト・ジャーナル

『ミッドナイト・ジャーナル』

著者
本城 雅人 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784062198998
発売日
2016/02/24
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ミッドナイト・ジャーナル』 本城雅人著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 昨今では珍しく、本書は事件記者もののミステリーだ。舞台はばっちり現代で、スマートフォンもパソコンも登場する。でも主人公たちは足で現場を歩き回って取材し、夜討ち朝駆けで捜査関係者の懐に飛び込んで情報を探り、ネタの裏を取る。

 発端は七年前に発生した連続児童誘拐殺人事件。犯人の男は逮捕され死刑に処された。しかし今また似たような手口の未遂事件が二件。三件目ではついに犠牲者が出てしまう。新聞記者・関口豪太郎が同僚記者たちと共に取材を進めてゆくと、七年前の事件は単独犯によるものではなく、主導的立場の共犯者がいたのではないかという疑惑がわいてくる――。

 派手なアクションも犯罪プロファイリングもサイコキラーの心の闇もない。地道な取材活動と捜査関係者との駆け引きと、事実に迫ろうとする記者たちの熱意、それだけに徹した三百六十七ページ。海外ドラマ『クリミナル・マインド』なら、一話・四十五分でこの真犯人を捕まえるだろう。でも、そういう外連(けれん)だけがミステリーの妙味ではないと思い出させてくれる佳品だ。

 講談社 1600円

読売新聞
2016年4月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加