『アルメニア人の歴史』 ジョージ・ブルヌティアン著

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アルメニア人の歴史

『アルメニア人の歴史』

著者
ジョージ・ブルヌティアン [著]/小牧 昌平 [監修、訳]/渡辺 大作 [訳]
出版社
藤原書店
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784865780574
発売日
2016/01/22
価格
9,504円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『アルメニア人の歴史』 ジョージ・ブルヌティアン著

[レビュアー] 出口治明(ライフネット生命保険会長)

 故郷を離れ世界に散在することを「ディアスポラ」と呼ぶが、アルメニア人とユダヤ人はその代表である。本書はユダヤ史に比べるとあまり知られていない、本格的なアルメニア史の決定版だ。

 カスピ海と黒海の間、アジアとヨーロッパを結ぶ回廊、ノアの箱舟が流れ着いたアララト山の麓がアルメニアの故地である。ローマとペルシャの間で翻弄されたアルメニアは、4世紀の初めにキリスト教に改宗する。これは世界で一番古い。アラブ人、トルコ人、モンゴル人、ロシア人がアルメニアを次々と通り過ぎていく。約1000年前に独立を失ったものの、商才に長(た)けたアルメニア人はしぶとく生き残る。アルメニアをたくさんの谷間に分断している無数の山々がそれを助けたのだ。

 「世界の半分」と謳(うた)われたエスファハーンの繁栄はアルメニア人が支えたが、第1次世界大戦中のジェノサイドで壊滅的な打撃を受けた。ソ連の崩壊によって独立を回復したが貧しいままで多くの人々が国を離れていく。著者は多様で繁栄しているディアスポラの中に希望を見ているようだ。小牧昌平監訳。

 藤原書店 8800円

読売新聞
2016年4月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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