【児童書】『だれかぼくをぎゅっとして!』 孤独なサボテンの運命は?

レビュー

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だれか ぼくを ぎゅっとして!

『だれか ぼくを ぎゅっとして!』

著者
シモーナ・チラオロ [著]/おびかゆうこ [著]
出版社
徳間書店
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784198641054
発売日
2016/02/13
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【児童書】『だれかぼくをぎゅっとして!』 孤独なサボテンの運命は?

[レビュアー] 加納裕子

 サボテンたちがきれいに並ぶ屋敷で暮らす子供サボテン、サボタ。サボタの願いは「ぎゅっと抱きしめてもらうこと」。でもサボテンが相手に近づくと、けがをさせてしまう。だから立派なサボテンたちはお互いに距離を取り、泣いていても慰めてもくれない。

 サボタは新しい仲間を見つけるために、旅に出た。でも誰も仲良くしてくれない。結局、小さな家にひとりで住むことになる。寂しい思いを抱えながら…。

 サボタが住む家には「はいるな! トゲがささるぞ!」と看板が掲げられ、ガラスの壁と高い塀に覆われている。本当は抱きしめてほしい、でも抱きしめてもらえない。自分も人も傷つけないようにするには、そうするしかなかったと思うと胸が痛くなる。

 人に甘えるのが上手な人ばかりではない。拒絶される経験が重なれば、誰だってサボタのように心を閉ざして自分を守ろうとするだろう。最後に、サボタにはひとつの出会いがある。子供向けの絵本ではあるが、大人も深く考えさせられる。(シモーナ・チラオロ作・絵、おびかゆうこ訳/徳間書店・1500円+税) 

 加納裕子

産経新聞
2016年5月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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