与えられたミッションを遂行すべく邁進(まいしん)した結果、思いがけず刑事事件に巻き込まれ、失意のまま職場を去ることとなった敏腕の元外務省分析官の著者が、思うに任せぬ窮屈な日々を憂う組織人たちに向け、属する組織とのうまい付き合い方を指南する実践マニュアルである。
煮え湯を飲まされ、自らは二度と組織人には戻るまいと決意した著者が、一方で「自分の力を引き上げてくれる」と組織のメリットに冷静に言及する点が面白い。短気を起こし上司に反発するだけが能ではないとも付言し、したたかに生き抜く術を存分に授けてくれる。(新潮新書・720円+税)
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2016年5月15日 掲載
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