『イナカ川柳』 TVBros.編集部編

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

イナカ川柳 農作業 しなくてよいは ウソだった

『イナカ川柳 農作業 しなくてよいは ウソだった』

著者
TV Bros.編集部 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163904382
発売日
2016/04/11
価格
1,296円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『イナカ川柳』 TVBros.編集部編

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 本書の「イナカ」は里山と田畑の「田舎」ではない。農業も地場産業も町おこしも観光振興も過疎化も全てひっくるめた地方都市の有り様を指している。そこは豊かさと衰退、最新のものと古くさいもの、便利なものと不自由なものが同居するカオスだ。で、川柳だから、たとえばこんなふうになる。

 ・ジャスコ裏 畑・老人 地平線 ・気がつけば 隣の嫁は 外国人 ・無農薬 作るオヤジは 酒びたり ・議員さん 親戚5人が 立候補

 個々の句にはユニークなコメントが添えられている。左端の句のコメントは(そしてなんにも変わりません)。

 一方で、こんな変化もある。

 ・ラブホテル 潰れた後に ケアハウス

 川柳は軽みとユーモアだけではできない。鋭い批評性が必須だ。それはつまり、まっとうなサブカルチャーだということだ。面白くてやがて悲しいこのイナカ川柳の投稿を募っているのは、サブカル最後の牙城とも言われる雑誌TVBros. 納得! 

 文芸春秋 1200円

読売新聞
2016年5月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加