『原発プロパガンダ』
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原子力ムラは日本社会そのものだ
[レビュアー] 図書新聞
怒り心頭に発さざるをえない。原発の根拠なき「安全神話」を延命させるうえで、日本の広告業界がどのように関与したのかを本書は詳らかにする。電力九社が約四〇年間に投じた普及開発関係費(広告費)は、二兆四〇〇〇億円。原資はわれわれの電気料金だ。この広告費はスリーマイルやチェルノブイリの事故やトラブル隠しなどに際してはね上がる。常識と真逆なのが電力会社、特に東京電力の体質だということがここからもよくわかる。「賄賂」と「恫喝」、それが電力会社の広告出稿の意味なのだ。また、「原子力ムラ」の「村民」たちの内実も明らかにされる。これでわかるのは、原子力ムラは日本社会そのものだということだ。巻を措く能わず。原発再稼働は「電力」のためではない。もうこんなものとは縁を切ろう。(4・20刊、二一六頁・本体八二〇円・岩波新書)