『ブラックバイト 学生が危ない』 今野晴貴著

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ブラックバイト : 学生が危ない

『ブラックバイト : 学生が危ない』

著者
今野 晴貴 [著]
出版社
岩波書店
ISBN
9784004316022
価格
886円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ブラックバイト 学生が危ない』 今野晴貴著

[レビュアー] 清水克行(日本史学者・明治大教授)

 ブラックバイトとは、学業に支障が出るほどの過重労働を学生に強いて、ときには心身の健康すら害してしまうアルバイトのこと。私の周囲の学生たちなども戦々恐々とバイト先の情報交換をしているが、一般にはまだまだ認知度の低い言葉のようだ。

 残業代不払い、過密シフト、ノルマに罰金などなど。本書には、ブラックバイトの
驚愕(きょうがく)
の実例が多数あげられている。いずれも法的には完全にアウトだが、社会経験の少ない学生はそれに気づかず酷使されてしまうのだという。

 深刻なのは、バイトを「社会勉強」だと考える真面目で責任感の強い学生ほど、その理不尽さを積極的に受け入れてしまうという点だろう。加えて、自分が職場を切り盛りしているという「疑似経営者」感も、背伸びをしたい年頃には魅力的であるようだ。しかし、それで高い学費を払った大学を中退したり、心身を壊してしまっては元も子もない。

 バイトにかまけて授業をサボるのは学生の
甲斐(かい)
性、というのんきな時代はもはや終わった。周囲の大人たちの早めの気づきや適切な声掛けが、今こそ求められている。(岩波新書、820円)

読売新聞
2016年6月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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