『鉄道の歴史』 クリスチャン・ウォルマー著

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鉄道の歴史: 鉄道誕生から磁気浮上式鉄道まで

『鉄道の歴史: 鉄道誕生から磁気浮上式鉄道まで』

著者
クリスチャン・ウォルマー [著]/北川 玲 [訳]
出版社
創元社
ISBN
9784422202396
発売日
2016/04/13
価格
3,024円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『鉄道の歴史』 クリスチャン・ウォルマー著

[レビュアー] 柴田文隆(読売新聞社編集委員)

 本当に革新的なテクノロジーは市民の暮らし、社会構造を激変させる。産業革命の末に登場した鉄道システムはまさにその典型だ。英国の地方ごとでばらつきがあった時刻は統一され、工業技術の標準化が進み、企業は巨大化し、戦争さえ変貌。郊外、通勤といった概念も誕生する。

 馬車軌道や運河の時代を経て、世界初の本格的な鉄道である英リバプール・アンド・マンチェスター鉄道が1830年に開業すると(初日に史上初の鉄道死亡事故を起こす不幸もあったのだが)、もはや鉄道の発展を阻むものは何もなかった。55年にはパナマ鉄道が大西洋と太平洋を結び、ゼメリング鉄道が57年にアルプスを越え、69年にはアメリカ大陸横断。第1次大戦が勃発した1914年には、世界の総延長は地球30周分、120万キロに達した。

 著者は『世界鉄道史』などの邦訳がある英の運輸ジャーナリスト。失敗した技術や、悲惨な事故、鉄道ブームの陰で渦巻く詐欺・汚職の歴史なども読み応え十分。250点超の写真・図版が添えられ、「読み鉄」という人も時代の旅が満喫できる。北川玲訳。(創元社、2800円)

読売新聞
2016年6月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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