パリで『陰陽師』を朗読して【自著を語る】

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

陰陽師 蒼猴ノ巻

『陰陽師 蒼猴ノ巻』

著者
夢枕, 獏, 1951-
出版社
文藝春秋
ISBN
9784167906276
価格
605円(税込)

書籍情報:openBD

パリで『陰陽師』を朗読して【自著を語る】

[レビュアー] 夢枕獏(作家)

    

2

 で、もうひとつ。

 今回収められている『仙桃奇譚』について――

 このお話、実は、渡辺真理さんにテーマをいただいたものなんですね。

『陰陽師』のムック本を出すことになって、その中で、真理さんと対談させていただいたんですね。

 その時に、ぼくは調子にのって、次のようなことを真理さんにお願いいたしました。

「小説を書く時、ゼロの状態からアイデアを考えるより、何らかの制約があった方が作りやすいんです。ぜひ、何かお題をいただけませんか。次の『陰陽師』は、そのお題を素材にして書きますので――」

 それで、いただいたお題が、

「桃」

 でした。

 で、書いたのが『仙桃奇譚』。

 なかなかおもしろい話にしあがったと思っているのです。

 で、さらにもうひとつ。

 ぼくの書いている、『陰陽師』ではない別の物語のお話です。

 今年、これまでずっと中断していた『幻獣少年キマイラ』のシリーズをようやく再開いたしました。

 幻獣をその体内に宿してしまった、美しい少年の物語です。

 三〇年以上書き続けてきて、まだ終っておりません。

 連載しているのは朝日新聞出版の『一冊の本』です。

 ノベルスを朝日新聞出版から――

 文庫をKADOKAWAの角川文庫から、出させていただいています。

『陰陽師』と同様に、愛着ある物語です。

 そのことを、皆様にお知らせしておきたくて、この場をおかりいたしました。

 なんとも愛(かな)しく、なんとも美しい物語です。

    

3

 というわけで、『陰陽師』、まだまだ続きます。

 よろしくどうぞ。

二〇一三年十一月十二日 小田原にて――

 夢枕獏公式ホームページ「蓬莱宮」アドレス
 http://www.digiadv.co.jp/baku/

(「あとがき」より)

文藝春秋BOOKS
2016年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

文藝春秋

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク