『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』 山田奨治著

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日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか

『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』

著者
山田奨治 [著]
出版社
人文書院
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784409241080
発売日
2016/04/19
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』 山田奨治著

[レビュアー] 奈良岡聰智(政治史学者・京大教授)

 デジタル環境の急速な進歩により、さまざまな著作物へのアクセスは格段に容易になった。その反面、著作権侵害が横行し、創作者の側には深刻な被害も生じている。利便性と著作権保護をどうバランスさせるべきか。技術が日々進歩するだけに、公正な仕組みを作るのは実に難しい。

 本書は、違法ダウンロードの刑事罰化など、近年の著作物利用への規制強化の動きを批判的に考察している。特に、アメリカ政府や業界団体の圧力によって、十分な議論が行われないまま法改正が繰り返されてきたことを問題視し、TPPが発効すれば、さらに規制が強化されると警鐘を発している。著者の立場は、基本的に利用者サイドに立ったもので、著作権者の側には異論もあるだろう。今後、著作権利用をめぐる議論が活発化することを期待したい。

 TPP交渉の著作権をめぐる議論は、ウィキリークスへの文書流出によって少なからず影響を受けたという。著者は交渉の経緯を、流出した文書を活用しながら分析している。インターネットが、外交や研究のあり方をも大きく変えつつあることを教えられる。

 人文書院 1800円

読売新聞
2016年6月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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