何とも緩い、かつ真実を含む本 『犬声人語』石黒謙吾文、雲がうまれる絵
[レビュアー] 産経新聞社
ことわざや名言の1語を「犬」に置き換え、とぼけた味わいのイラスト付きで解説を加えた、何とも緩い本だ。例えば「少年よ犬を抱け」はクラーク像に犬がしがみついている絵だし、「鳴かぬなら鳴くまで待とう犬」なんて語呂の悪さで思わず笑ってしまう。
だが犬が加わることでほっこりした世界に変わるのは確か。「犬眼鏡で見る」ことで他人を見下すことはなくなるだろう、と著者は説くが、案外、真実を含んでいるかもしれない。犬に由来するとこじつける家紋も紹介しているが、「三つ割り豆造」なんて本当に犬にしか見えないから不思議だ。(ワニ・プラス・1300円+税)