『シルバー民主主義』 八代尚宏著

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シルバー民主主義 高齢者優遇をどう克服するか (中公新書)

『シルバー民主主義 高齢者優遇をどう克服するか (中公新書)』

著者
八代尚宏 [著]
出版社
中央公論新社
ISBN
9784121023742
発売日
2016/05/19
価格
842円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『シルバー民主主義』 八代尚宏著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

 少子高齢化が進むと、人口に占める高齢者の割合が増えてくる。選挙権をもつ人達(たち)の中でも高齢者の比率があがっていく。そうすると、どうしても高齢者にメリットがある政策がとられがちだ。これが、タイトルにあるシルバー民主主義と呼ばれる現象だ。

 シルバー民主主義が問題として取り上げられるのは、通常は、世代間の問題としてである。高齢者にとって相対的に有利な政策ばかりが実行されれば、若者の利益が相対的に損なわれる。それは世代間での不公平感を発生させ、若者が不利益を被るとされる。

 しかし、本書は、そうではなく高齢者にとっても、シルバー民主主義が問題だと主張する。そもそも現行の社会保障制度が維持できなくなれば困るのは高齢者だし、自分の子供や孫が不利益を被るのは高齢者にとっても望むところではないからだ。

 そこから著者は、社会保障全体の問題と改善策について、切れ味鋭く切り込んでいく。著者の意見に賛成できない面があったとしても、明快な記述と論理展開は、社会保障問題等、この国が抱える課題の整理に大いに役立つだろう。

 中公新書 780円

読売新聞
2016年6月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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