『僕たちのカラフルな毎日』 南和行、吉田昌史著

レビュー

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僕たちのカラフルな毎日~弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記~

『僕たちのカラフルな毎日~弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記~』

著者
南 和行 [著]/吉田 昌史 [著]
出版社
産業編集センター
ISBN
9784863111332
発売日
2016/04/24
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『僕たちのカラフルな毎日』 南和行、吉田昌史著

[レビュアー] 朝井リョウ(作家)

 地方議会の議員がSNSに投稿した「同性愛者は異常動物」発言について、友人と口論になった。この発言は正しいと主張し続けた友人の姿を忘れられない日々の中で、私はこの本に出会った。

 この本には、同性カップルとして弁護士事務所を営む男性二人の、出会いから今日までの道程が綴(つづ)られている。勿論(もちろん)、同性愛者としての生きづらさに関する記述もあるが、この本はLGBT(性的少数者)に関する苦悩や問題点に特化せず、あくまで吉田さんと南さんという二人の人間が社会の中で家族として生きていく日々を丹念に描いている。そうすることにより「僕達(たち)はこんなにも大変です!」ではなく、あらゆる問いがこの世界に存在するままの質量で私たちの眼前に現れる。少数派だから、自分とは違うから、子孫を残せないから、異常なのか。では正常とは、血縁とは、家族とは一体何なのか。

 特に、検察官という立場上「女性」というだけで軽んじられがちな、つまり彼らと同じく世の偏見と闘っているはずの女性検察官との話は印象深かった。口論になった友人と、また、話したい。

 産業編集センター 1400円

読売新聞
2016年7月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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