『ミャオ族の刺繍とデザイン』 苗族刺繍博物館著

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ミャオ族の刺繍とデザイン

『ミャオ族の刺繍とデザイン』

著者
苗族刺繍博物館 [著]
出版社
大福書林
ISBN
9784908465017
発売日
2016/03/16
価格
3,024円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ミャオ族の刺繍とデザイン』 苗族刺繍博物館著

[レビュアー] 清水克行(日本史学者・明治大教授)

 中国南西部の山岳地帯に住む少数民族、ミャオ族(苗族)はカラフルでポップな民族衣装で知られる。愛知県常滑市の苗族刺繍(ししゅう)博物館は、その鮮やかなデザインと色彩に魅了されたご夫婦が、蒐集(しゅうしゅう)品を展示するために作った私設博物館である。本書にはその展示品の一部が掲載されている。彼らは文字を持たないかわりに、蝶(ちょう)や龍、草花などの鮮烈な図像で、その世界観を表現する。

 彼らの衣装は専門の芸術家や職人によって作られるわけではない。それぞれの家の女性たちが何年もかけて手作りをする。また、その刺繍は単なる装飾ではなく、それ自体が邪気を寄せ付けないためのものだった。だから、背中や襟、袖、幼児の服や背帯にはとくに細かく念入りに刺繍を施す。家族や幼い命を守るための祈りと愛情が、そこには縫い込まれているのだ。「美」というものの本質を見る思いがする。

 大福書林 2800円

読売新聞
2016年7月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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