『はじめての野心』 中村慧子著

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はじめての野心 夢を最短最速でカタチにする方法

『はじめての野心 夢を最短最速でカタチにする方法』

著者
中村 慧子 [著]
出版社
ワニブックス
ISBN
9784847094699
発売日
2016/06/27
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『はじめての野心』 中村慧子著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

飾り気のない熱い思い

 著者紹介の肩書が、「野心家」。まず、これに驚かされる。え、野心家って職業? と思わず、突っ込んでしまいたくなるが、どちらかといえば、否定的な意味で使われがちな、野心という言葉を、あえてタイトルにも肩書にも使うところに著者の意気込みと覚悟が感じられ、気持ちが良い。

 多くの人が、日々少しずつは感じているであろう、「何かやってみたい」「あんな風になれたら」という思いや希望を、あえて「野心」という強い言葉で著者は呼んでいる。そして、その小さな思い、「はじめての野心」を育てていくための、具体的なプロセスが書かれている。

 その内容に説得力を与えているのが、著者自身の経験だろう。女優からシニア野菜ソムリエの資格を取って本も出版。そして今度は野心家へと。見ようによっては華々しい経歴だが、その成功体験を語るのではなく、その過程での挫折や苦悩、そして覚悟が、かなり赤裸々に語られている。それがこの本の魅力の一つであり、多くの人が著者のブログを読んでいる理由の一つだろう。

 「失敗とは野心を叶(かな)えるための階段です」といった心に響くフレーズが、あちこちに出てくる。ただし、単なる精神論で終わるのではなく、どのようなことをノートに書き留めれば、自分の野心が育つかといった、かなり具体的にやるべきことが書かれている。

 「最初の一歩」をやみくもに踏み出すのではなく、その前に「最初のゼロ歩」としてやっておくべきことがあるというのは興味深い指摘だ。

 さらに、ブログ等のSNSとの付き合い方や、名刺の活用の仕方等についても、経験に基づいた実践的方策が、説得力をもって語られている。

 何よりもこの本を魅力的なものにしているのは、全体からにじみ出る、著者自身の飾り気のない熱い思い、「野心」だろう。表紙写真の、土を踏みしめる泥だらけの裸足(はだし)が、その思いを効果的に伝えている。

 ◇なかむら・けいこ=1984年生まれ。文化人養成講座「野心塾」主宰。講演や執筆、テレビ出演など幅広く活動。

 ワニブックス 1300円

読売新聞
2016年7月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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