『第一次世界大戦 平和に終止符を打った戦争』 マーガレット・マクミラン著

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第一次世界大戦

『第一次世界大戦』

著者
マーガレット・マクミラン [著]/真壁 広道 [訳]
出版社
えにし書房
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784908073243
発売日
2016/05/24
価格
8,640円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『第一次世界大戦 平和に終止符を打った戦争』 マーガレット・マクミラン著

[レビュアー] 奈良岡聰智(政治史学者・京大教授)

 第一次世界大戦は、欧米の名だたる歴史家が取り組んできた大テーマである。1980年代までにジョル、タックマンなどの大家が名著を発表し、わが国でもよく読まれてきた。しかし、その後飛躍的に研究が進んでいるにもかかわらず、近年の成果は日本ではあまり知られていない。こうした中で、最近の大戦研究を代表する本作品が邦訳された。待望の書である。

 750ページを超える大著であるが、驚くほど読みやすい。19世紀初頭から続いてきた平和が、なぜ、いかにして1914年に破綻したのかが、明快かつバランスよく描き出されている。著者の真骨頂は、国際関係や各国の外交政策を遠景に置きながら、政策決定者たちの苦悩や人間関係を活写している点にある。壮大な人間ドラマに引き込まれること請け合いである。

 著者は、各国の指導者たちが想像力と勇気を欠いていたことが開戦につながったと指摘し、戦争以外の「別の選択肢は常に存在する」と結論している。安全保障環境が不安定化している今日、大戦勃発を招いた悲劇の歴史を学ぶ意義は大きい。真壁広道訳。

 えにし書房 8000円

読売新聞
2016年7月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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