『人間万事嘘ばっかり』
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『人間万事嘘ばっかり』山田風太郎著
[レビュアー] 産経新聞社
伝奇小説『魔界転生』や数々の明治小説で知られる著者が世相を眺めながら、あちこちに書いた雑文をまとめた一冊。いずれも飄々(ひょうひょう)とした筆致でつづられているが、味わい深く辛辣(しんらつ)である。著者の透徹した人間観が存分に楽しめる。
たとえば禁煙ファシズムを嘆いた「けむたい話」。愛煙家の著者は最後っぺのようにこうつづる。《タバコを禁じて肺ガンが減少すると、この世はみるみるぼけ老人で充満するようになるぞ、この地球上に、いままでどころじゃない、救いようのない地獄がはじまるぞ》と。これは平成元年に日本経済新聞に書いたものだ。(ちくま文庫・1000円+税)