【写真集】『DEDICATED』操上和美+首藤康之
[レビュアー] 篠原知存(ライター)
肉体美である。鍛え抜かれた身体は、おじさんが見てもカッコイイ。踊りのために研鑽(けんさん)を重ねた結果としての形態には機能美の趣もある。
バレエダンサーの首藤康之さんが、昨年11月の誕生日に、親交の深い写真家の操上和美さんとセッションした作品をまとめた一冊。
首の角度や腕の向き、力のいれ具合をほんの少し変えるだけで、放たれるイメージがころっと変わる。浮き上がりそうな軽やかさ、水の流れのようなしなやかさ、あるいは爆発寸前のごとくにみなぎる力。自由自在だ。人間が身体ひとつでできる表現が、どれほど多彩で豊かであるかを教えてもらった。
「DEDICATED=デディケイテッド」は「身を捧(ささ)げた、打ち込んでいる」といった意味。幼いころから踊りに打ち込んできた首藤さんにふさわしいタイトルだろう。同時に、踊りという行為が古来「捧げもの」であることも連想させる。(赤々舎・3800円+税)
篠原知存