『社会人としての言葉の流儀』 川村二郎著

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社会人としての言葉の流儀

『社会人としての言葉の流儀』

著者
川村二郎 [著]
出版社
東京書籍
ジャンル
語学/日本語
ISBN
9784487810093
発売日
2016/06/29
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『社会人としての言葉の流儀』 川村二郎著

[レビュアー] 橋本五郎(読売新聞社特別編集委員)

 車内を見まわすと、十人中八、九人がスマホをいじくっている。分別のありそうな中年の男までが、そうしている。彼らは表情に乏しく、例外なく目が死んでいる。今や日本人は歯車より小さな、デジタル機器の端末になっているのではないか――。

 世の風潮に著者は仁王立ちで異論を唱えている。KY?空気を読めってなんだ!「記者になったら、誰に対しても聞くべきことを聞き、言うべきことは言えよ。部内や社内の空気は読まなくていいぞ」

 国会答弁では「させて頂きます」が流行(はや)り、「しっかり病」が蔓延(まんえん)している。「復興事業は、サッサと実行します」と言えばいい。「ドンドン」でも「パッパ」でもかまわない。その方がずっと力強く有権者に届くはずだ。

 あたかもタンカを切るような著者の主張にまったく同感である。言葉ひとつがその人を表すものであり、神経を配らなければならないのだ。

 著者にはこのままでは日本がおかしくなるという使命感とともに、決して悪評を恐れぬ精神的な強靱(きょうじん)さがあるに違いない。中途半端な自分を省み、心から羨ましく思う。

 東京書籍 1400円

読売新聞
2016年7月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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