『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争』 田島奈都子編著

レビュー

6
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プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争

『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争』

著者
田島奈都子 [編集]
出版社
勉誠出版
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784585270317
発売日
2016/07/15
価格
3,024円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争』 田島奈都子編著

[レビュアー] 安藤宏(国文学者・東京大教授)

 長野県の阿智村に保管されていた、第二次大戦下のプロパガンダ・ポスターを読み解く試み。

 見ていて実にさまざまな発見がある。たとえば一見当たり前に見える戦意高揚の図柄が、実は日露戦争を題材にしたものであったりする。往時の勝利を回顧する戦略なのだろうが、近代戦下のこのアナクロニズムは何とも滑稽だ。また、精神論を表に出す時は日本画が、“現実”を強調するときには洋画が採用される、という指摘などにも思わずハッとさせられる。

 ポスターが主要なメディアであったこの時代、図案のレベルもなかなかのもので、一般公募作の質はきわめて高かったし、第一線の著名な画家の力作が多かった事実もあまり知られていない。ソ連など、海外のデザインの“パクリ”が多くあるのにも驚かされた。視覚を通して時代を“読む”面白さを教えてくれる一冊である。

 勉誠出版 2800円

読売新聞
2016年8月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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