『〈新版〉総理の値打ち』福田和也著
[レビュアー] 産経新聞社
「世代をこえた国民国家への責任感」を基準に歴代首相62人を100点満点で採点する。ちなみに50点台が「国に益もなさず、害もなさなかった」である。暴挙とも言えるが、宰相論議のたたき台を分かりやすい形で国民に提示した著者の勇気には頭が下がる。
最高点は伊藤博文の91点。次いで岸信介の81点。田中角栄の登場によって、最重要の政治課題が繁栄する国の富の分配になってしまい、政治が矮小(わいしょう)化したと指摘する著者の田中以降の採点と寸評は極めて厳しい。宰相の評価を通じてわが国の近現代史を大づかみできる、という意味でも貴重な書である。(新潮新書・760円+税)