【私の編集した本】『夢は牛のお医者さん』

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夢は牛のお医者さん

『夢は牛のお医者さん』

著者
時田 美昭 [著]/江頭 路子 [イラスト]
出版社
小学館
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784097266549
発売日
2016/06/23
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

夢は牛のお医者さん

『夢は牛のお医者さん』

著者
赤羽 じゅんこ [著]/宮尾 和孝 [イラスト]
出版社
小学館
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784092308671
発売日
2016/06/23
価格
756円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【私の編集した本】『夢は牛のお医者さん』

あなたの子どものころの夢は何でしたか?

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映画「夢は牛のお医者さん」より ©TeNY

 絵本『夢は牛のお医者さん』は、小学生のころに描いた「獣医師になる」という夢に、ただひたすらに突き進み、実現させたひとりの少女の物語です。

 この本を編集することになったきっかけは、ある映画との出会い。二年前、小さな映画館で封切られた『夢は牛のお医者さん』(テレビ新潟製作)でした。

 このすがすがしいまでに実直な映画を観終わったとき、思わず、自分の生きてきた数十年を振り返ってしまいました。「自分は、そのときそのときの目標に向かって、ほんとうに努力しただろうか」「夢の実現に向かってどれくらいの熱意や意欲をもって向き合っただろうか」そして、「いま自分の仕事に対して、どれくらい真摯に向き合っているだろうか」と。

 それくらい、この映画の主人公知美さんのひたむきな姿に、ただただ心打たれたのでした。そして、ときにあたたかく、ときにきびしく彼女を見守り応援し続けた周囲のおとなたちの姿に、頭が下がる思いでした。

 児童書の編集をしている人間として、この物語を多くの子どもたちに知ってほしい。そういう思いに駆られ、上映後、初日舞台挨拶に来場されていた時田美昭監督に、その場で書籍化の依頼をしていました。そのときは特にこれといった返事はもらえず、私も次第に映画のことを忘れてしまっていたのですが(苦笑)、一年ほど経ったある日、時田監督から一通のメールが届きました。

「この映画を絵本にできないでしょうか」と。

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小さな小学校に入学してきた3頭の子牛。その出会い
が少女の夢の始まりでした──。イラストは、優し
い色彩とやわらかな子どもの表情で人気の絵本作家、
江頭路子さん。ひたむきな主人公の表情や子牛たち
との交流シーンなどが魅力的に描かれています。

 その間、映画は数々の賞を受賞し、多くの人たちに感動を与え続けていたそうで、本の形で、さらに広くこの物語を伝えたいという監督の意向でした。

 もちろんすぐに動き、さらに、絵本を卒業した年代にも読んでもらえるように、映画のノベライズで定評のある「ジュニア文庫」での出版も提案しました。そうして、この夏、絵本とジュニア文庫での二冊同時発売が実現したのです。

 子どものころからの夢を叶え、いまも日々獣医師として夢を実現し続けている知美さんの姿は、世代や職業を超え、誰の心にも響くと信じています。

 私が映画を観終えた後に感じたような清涼感を、書籍でも、ぜひ感じていただけますように……。

編集担当 香藤裕紀(小学館 児童・学習編集局)

小学館 本の窓
2016年8月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

小学館

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