『直感力を高める 数学脳のつくりかた』 バーバラ・オークリー著

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直感力を高める 数学脳のつくりかた

『直感力を高める 数学脳のつくりかた』

著者
バーバラ・オークリー [著]/沼尻 由起子 [訳]
出版社
河出書房新社
ジャンル
自然科学/数学
ISBN
9784309253466
発売日
2016/05/16
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『直感力を高める 数学脳のつくりかた』 バーバラ・オークリー著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

科学的な勉強法を指南

 勉強は、とにかく真面目にコツコツやることだ。変な小細工をせず、とにかく時間をかけるのが一番の近道。そんな風に考えている人が、いまだに少なくないようだ。

 しかし、たとえばオリンピック選手にとって科学的分析に基づいた練習の工夫が不可欠なように、実は勉強も単に時間をかけるだけでなく、やり方の工夫や、頭を使うコツがとても重要だ。

 ところが、そういうことは塾や予備校等で多少教えてもらうことはあるけれど、体系立てて教えられることは、かなり少ない。ましてや、そこに科学的知見が取り入れられ、データ等に基づいた勉強の仕方指南等が行われることはほとんどない。これは、かなりもったいないことではないだろうか。

 本書は、そんな思いに応えてくれる勉強の仕方の科学的な指南書だ。タイトルをみると、数学のためだけの本にみえるが、中身はより普遍的な勉強の仕方が書かれている。脳科学や心理学の知見を取り入れて、かなり具体的な学習法が書かれていて、受験生やその家族にとっては、役立つ一冊だろう。

 たとえば何かを記憶しようとする際には長時間反復して勉強してもあまり成果があがらず、集中するモードとリラックスするモードとを交互に繰り返したほうが良いといったアドバイスは、暗記科目に悩んでいる人には大いに参考になるだろう。数学や物理等といった科目をマスターするための効果的な学習方法についても、脳科学の議論と関連付けた説明がされている。

 また、研究者の体験談やアドバイス等があちこちに挿入されていて参考になるし、やる気がでないときの対処の仕方等についても、丁寧かつ具体的に書かれている。

 ただし、実は単なるハウツーに留(とど)まっておらず、心理学の知見等を踏まえた、ある種の生き方論が展開されている点も興味深い。沼尻由起子訳。

 ◇Barbara Oakley=米オークランド大工学教授。元陸軍大尉。邦訳書に『悪の遺伝子』など。

 河出書房新社 1900円

読売新聞
2016年8月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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