『学力・心理・家庭環境の経済分析』 赤林英夫・直井道生・敷島千鶴編著

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学力・心理・家庭環境の経済分析 全国小中学生の追跡調査から見えてきたもの

『学力・心理・家庭環境の経済分析 全国小中学生の追跡調査から見えてきたもの』

著者
赤林 英夫 [著]/直井 道生 [著]/敷島 千鶴 [著]
出版社
有斐閣
ISBN
9784641164734
発売日
2016/06/18
価格
3,348円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『学力・心理・家庭環境の経済分析』 赤林英夫・直井道生・敷島千鶴編著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

 親の年収や家庭環境は子どもの学力にどんな影響を与えるのか。多くの人の関心事だし、学校教育や政策を考えるうえでも重要なテーマだ。しかし、それを厳密に計測しようとすると意外に難しい。

 年収がすぐに学力に影響するとも限らず、何年か後になって学力の差を生むかもしれない。テストの成績だけで学力の高低を判断して良いのか。あるいは、親の年収よりも、たとえば、親が読む本の冊数が影響することはないのか等々、考えるべき点は多い。きちんとした統計を整備することも容易ではない。

 本書はこれらの問題に挑戦し、2010年以来継続して収集している統計データに基づいて、経済学、教育学、心理学等の研究者が厳密な分析を行った労作だ。専門的な記述も多いが、用語の解説等、読みやすさにも配慮がされている。教育のあり方や格差問題を真剣に考えていくためには、このような分析が積み重ねられていく必要があろう。

 親の年収以外の影響も分析されていて、例えば親の学校参加が子どもの学力にプラスの効果を与えるといった結果が出ている点も興味深い。

 有斐閣 3100円

読売新聞
2016年9月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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