【聞きたい。】「世界文学の話題や文芸理論に触れながら、おしゃべり楽しむ感じで」沼野充義さん 『8歳から80歳までの世界文学入門 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義4』

インタビュー

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8歳から80歳までの世界文学入門

『8歳から80歳までの世界文学入門』

著者
沼野充義 [著]/池澤夏樹 [著]/小川洋子 [著]/青山南 [著]/岸本佐知子 [著]/マイケル・エメリック [著]
出版社
光文社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784334978822
発売日
2016/08/16
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】「世界文学の話題や文芸理論に触れながら、おしゃべり楽しむ感じで」沼野充義さん 『8歳から80歳までの世界文学入門 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義4』

[レビュアー] 産経新聞社

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沼野充義さん 

 

■読書がもたらす果実とは

 海外文学の動静に詳しい著者が、第一線の書き手らを招いて公開の場で意見を交わす。そんな対話から学ぶ世界文学入門のシリーズ4冊目。作家の池澤夏樹さんら5人が登場し、平明な語り口でするりと文学の核心に迫っていく。

 「対談では耳で聞いて分かる親しみやすい言葉でないと伝わらない。今の世界文学の話題や文芸理論に触れながら、おしゃべりは楽しむ感じでやっています」

 世界における日本文学の現在地も分かる。〈日本文学を専攻するのなら日本語だけではダメだよね、という認識が広まっている〉と話すのは米の日本文学研究者、マイケル・エメリックさん。実際、ひと口に日本文学と言っても、多和田葉子さんは日独両言語で創作しているし、リービ英雄さんのように日本語で書く米国人作家もいる。「日本と世界との文化的な境界は流動化している。内から外へ、外から内へ、という両方の動きが交差するところこそが現代文学の最前線だと思う」

 深遠な創作論を交わすのは作家の小川洋子さん。〈現実とは異なる存在感を持った、酸素とは違う種類の空気を吸える場所〉としての物語が、人間にとってどれだけ必要かを語る。多種多様な文学談議に触れるうち、読書という行為がもたらす果実にも思いが至る。

 「主体的にテキストに取り組むことで自分の頭脳を鍛えていく。そして読んだ後では世界が違って見えるかもしれない。これは勝手に押し寄せてくる情報に身を委ねているだけでは得られない。本を読むのは人間にとって経験なんです。情報は消えてしまうけれど経験は消えない」

 シリーズ4冊目でタイトルを大きく変えた。だが読書好きな義理の母は、少し戸惑ったという。「彼女は80歳を超えているから、除外されたと感じたみたい。この高齢社会、次は“100歳まで”としてもいい。本って何歳になっても面白いんです」(光文社・1800円+税)

【プロフィル】沼野充義
 ぬまの・みつよし 昭和29年、東京生まれ。東京大教授。専門はロシア・ポーランド文学。著書に『ユートピア文学論 徹夜の塊』(読売文学賞)など。

産経新聞
2016年9月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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