“エキストラ・ワンマイル”を行く努力 「最強の働き方」

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ベストセラー連発!注目の著者の最新作

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 グローバル・エリートを自称する人気コラムニスト、ムーギー・キムの『最強の働き方』がとても売れている。『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』(東洋経済新報社)や、『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著、ダイヤモンド社)と、出す本すべてがベストセラーとなっている話題の著者の新作だ。丸善・丸の内本店では入口すぐの所に大展開されており、7月に発売された本ながら、8月末でもビジネス書のランキングで1位に入っていた。376ページとビジネススキルの本としてはかなりのボリュームで、本のつくりが凝っているのにもかかわらず、価格は通常のビジネス書と変わらない1728円。かなりお買い得な本である。

 装丁だけではなく、中身も素晴らしい。ユーモアあふれる語り口で書かれており、とても読みやすいので、ビジネス書を普段読まないような人でも、すらすらと読み進めることができるはずだ。書かれていることは普遍的で時代に左右されるものではないので、本書も一時的な流行では終わらず、長く読み継がれていく本になるだろう。こういった本は1度読んで終わりにするのではなく、何度も読みかえすことで活きるものだと思う。

 本書には仕事術の本にありがちな、こうすれば誰でも仕事ができるようになるといった魔法のようなことはいっさい書かれていない。逆に“一流の仕事とは一流の基本の積み重ねである”だとか、“できる人ほどメールは即リプライする”というように、一見すると当たり前のことばかりが書かれている。しかし本質というものは得てしてそういうものなのだろう。当たり前のことを当たり前にできる人こそがきっと一流のビジネスパーソンなのだ。

 彼らは日々の仕事で「エキストラ・ワンマイル」を行く努力をしているそうだ。「普通の人がやるであろう努力の一歩先を行く努力をしたかどうか」「自分の限界を超える圧倒的努力をしているか」を常に問いかけ、毎日少しずつ自分を成長させていく。このマインドセットを持つだけで、誰でも人より一歩も二歩も先に行けるようになるのではないだろうか。

新潮社 週刊新潮
2016年9月22日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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