【話題の本】『新 怖い絵』中野京子著 “恐怖”で名画読み解く…展覧会も決定

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新 怖い絵

『新 怖い絵』

著者
中野 京子 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784041046425
発売日
2016/07/28
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【話題の本】『新 怖い絵』中野京子著 “恐怖”で名画読み解く…展覧会も決定

[レビュアー] 産経新聞社

 忘れがたい絵が、必ずしも美しい絵とはかぎらない。心に引っかかる何か-それは人間の醜さや怨念であったり、社会の暗部、歴史の闇だったりする。

 ドイツ文学者の中野京子氏が「怖い絵」を上梓(じょうし)したのは9年前。“恐怖”で名画を読み解く同書は大きな反響を呼び、続々シリーズ化、文庫化されてきた。そして来年には、「怖い絵展」が兵庫県立美術館と東京・上野の森美術館で開かれることが決定。期待が高まる中での新刊登場である。

 フリーダ・カーロ「折れた背骨」やフォード・マドックス・ブラウン「あなたの息子を受け取ってください、旦那さま」のように、ひと目見てゾクッとさせられる絵もあれば、背景を知って初めて怖さをおぼえる作品も。ティツィアーノ・ヴェチェリオの肖像画「パウルス三世と孫たち」の場合、画家と発注者(パウルス三世)の思惑やその結末を知ることで、恐ろしさが倍加する。農村風景を描いたジャン・フランソワ・ミレーの「落穂拾い」も、見方によっては“危険な絵”となる。

 絵を見るのに知識はいらない。けれども本書を手に絵を「読む」ことで、味わいは深くなり、やがてやみつきになる。(KADOKAWA・1800円+税)

産経新聞
2016年10月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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