【児童書】『いいわけサウルス』おおなり修司文、丸山誠司絵 君の隣にいる新種の恐竜
[レビュアー] 産経新聞社
してはいけないと分かっていても、ついついしてしまうのが言い訳。主人公のたかしくんは、何かと言い訳の多い小学生だ。
学校に遅刻したのは犬のクロが靴を隠したためで、宿題を持ってこないのは猫のシロが爪でぐちゃぐちゃにしたせい。筆箱を忘れたのはお父さんが酔っ払って踏んづけて壊したからで、リコーダーも「おばあちゃんがきょう、えんそうかいでつかってる」ので忘れてきた。すぐ嘘と分かるような言い訳ばかりしているたかしくんだが、なぜか憎めない。
ところが、言い訳を重ねているうちに、たかしくんの体に異変が発生。新種の恐竜「いいわけサウルス」が誕生してしまう。
絵本作家、おおなり修司さんのユーモラスな語り口と、丸山誠司さんの躍動感あふれるイラストで、ほほえましい言い訳を楽しみながら、正直に謝ることの大切さに気づかされる。
大事な会議に遅刻したり締め切りを守れなかったりすると、つい言い訳が口をついてくる大人にもお薦めの一冊だ。(絵本館・1300円+税)
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2016年10月2日 掲載
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