『花は散るもの 人は死ぬもの』長嶋南子著

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花は散るもの人は死ぬもの

『花は散るもの人は死ぬもの』

著者
長嶋南子 [著]
出版社
First Second
ISBN
9784760220540
発売日
2016/09/26
価格
1,650円(税込)

『花は散るもの 人は死ぬもの』長嶋南子著

[レビュアー] 産経新聞社

 「皮ふを剥いで内臓をさらけ出して書かれた詩が好きだ」と宣言する昭和18年生まれの女性詩人が、与謝野晶子から氷見敦子まで21人の物故女性詩人とその作品を、気取りのない言葉で居直ったように論じてゆく。

 《茨木のり子の詩は格好いいのが多い。またそれが受けるのだ。どうも普通の人はお説教を求めているらしい》とか《吉原幸子からはフェロモンが立ちのぼっていたが、それを嗅ぎ取っていたのは女だった》といった調子だ。

 無敵のオバサン力と、女性詩人と作品が孕(はら)む深淵(しんえん)に斬り込む鋭敏な感受性が同居した希有(けう)な女性詩論集だ。(花神社・1500円+税)

産経新聞
2016年10月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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