『芸能人寛容論』 武田砂鉄著

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芸能人寛容論

『芸能人寛容論』

著者
武田 砂鉄 [著]
出版社
青弓社
ジャンル
芸術・生活/演劇・映画
ISBN
9784787273918
発売日
2016/08/10
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『芸能人寛容論』 武田砂鉄著

[レビュアー] 柳川範之(経済学者・東京大学教授)

 この本は、芸能人をバッサリ斬るなんて、単純なことはしない。むしろ心無い芸能マスコミから全力で擁護したりする。論を尽くして魅力を語り、特徴をあぶりだす。

 思わず笑ってしまう中に、ああ、なるほど、だからこの人は生き残っているんだなというのが良く分かったりする。でも、その論ゆえに、あるいはそれを隠れ蓑(みの)に、鋭い毒も多々語られる。その人の本質が露(あら)わになる。このバランス感と言語感覚が絶妙だ。

 きわどい話題も含め多くの人が取り上げられているが、その裏側の情報量たるや半端なものではあるまい。

 本筋とは関係ないところでの短いコメントにも、鋭さが発揮される。堂本剛のところで語られる、ジャニーズの先輩タレントに関する寸評の書きぶりや、神木隆之介の頁(ページ)にある、同じように子役から俳優になった、えなりかずきの記述等も秀逸だ。

 マツコ・デラックスの魅力は、視聴者が毒舌とフォローの双方に参加できる点にあるというくだりも、成(な)る程(ほど)と思わされる。文化論やマーケティング戦略論の本にも見えてくるから奥深い。

 青弓社 1600円

読売新聞
2016年10月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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