明文堂書店石川松任店「この本を読んではいけない。」【書店員レビュー】

レビュー

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女學生奇譚

『女學生奇譚』

著者
川瀬七緒 [著]
出版社
徳間書店
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784198641665
発売日
2016/06/08
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

明文堂書店石川松任店「この本を読んではいけない。」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

《この本を読んではいけない。過去に読んだ者のうち五人が発狂し、二人が家から出られなくなり、三人が失踪している。》
ライターの八坂は、オカルト雑誌『月刊シュタイナー』の編集長である火野から仕事の依頼を受ける。《この本を読んではいけない》という警告のメモが挟まれた一冊の古書。その古書の持ち主である兄が失踪したという妹から連絡があり、その案件に関わって欲しいというものだった。著者不明の『女學生奇譚』という題名の古書を妹の竹里あやめから受け取った八坂は、その古書を読み始める。死ななければならない定めにある《佐也子》という少女を語り部とするフィクションかノンフィクションか分からない内容のその本を読み進めていくうちに、現実世界でも奇妙な出来事が起こり始める。
『女學生奇譚』は読んではいけない本だ。読者に向けられたように、目次の前にそう警告されている。きっと作中作だけのことではないのだ。しかし、読むな、と言われると、読みたくなるのが人情というものだ。そして本書に対してその感情を抱くのは正しい判断だ。何故なら、面白いからである。特にサイコ・サスペンスやホラー、イヤミスといったジャンルが好きな人間にはたまらない作品である。恐怖と謎に満ちた一冊だ。不気味な魅力を持つ作中作や主人公に対して読者が感じる違和の正体(具体的には書けないのですが・・・・・・)がもともとあった恐怖をさらに盛り上げ、そして予想外な展開と今まで見ていた景色がいっぺんに変わる意外な真実も印象的である。
・・・・・・しかし嗚呼おれは『女學生奇譚』を読んでしまった。もしかしたらこれが最後のレビューになるかもしれない。そうならないことを自分自身に願いながら最後に一言、ごきげんよう、さようなら。

トーハン e-hon
2016年10月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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