【聞きたい。】壇蜜さん『泣くなら、ひとり 壇蜜日記3』 秘めて広がる想像力

インタビュー

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泣くなら、ひとり 壇蜜日記3

『泣くなら、ひとり 壇蜜日記3』

著者
壇 蜜 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784167907174
発売日
2016/10/07
価格
713円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】壇蜜さん『泣くなら、ひとり 壇蜜日記3』 秘めて広がる想像力

[レビュアー] 産経新聞社

【聞きたい。】壇蜜さん W300px
「壇蜜日記3」を刊行した壇蜜さん

 日記シリーズ第3弾。

 「5冊くらい出せばシリーズと言えるかもしれませんが、まだ…。同世代の女性、一般企業で働く人に共感していただいているようでうれしいです」

 7月15日までの1年間、仕事や私生活で起こった題材をもとに、感じたことを書き下ろした。「暖かくて上着が邪魔でした」とテレビで伝える気象予報士に《たとえ上着が相手でも、その美しい姿で邪魔という乱暴な言葉を使わないで欲しかった》など独特の着眼点と抜群の記憶力でつづる。一方で東日本大震災5年目と熊本地震が発生した日は、細かなことを一切記さず、わずか一文で被災者を見舞った。

 小学校低学年から約10年間、日記を続けた習慣で「文章を書くことに抵抗がなくなった」という。今作も毎晩、浴槽につかりタブレット端末を使い、1日分を10分程度でまとめた。

 人、事象などの名称がたびたび、ぼかして表現される。「合理的に、効率よく時短で−という風潮に対する小さな反発でしょうか。書かないことでより想像力が広がる。年に1冊しか出さないから時間を使って、妄想しながら読んでほしい」

 私立小学校に通い、近所に遊ぶ同級生がいなかったこともあり、漫画を含め書物に親しむ時間が多かった。グリム童話集やシェークスピアもの、内外のミステリーから団鬼六作品も読んできた。が、途中で挫折した作品も多いという。

 「私たちが選んでいるのではなく、本に選ばれている。“つまらないなあ”と思っているうちは共存できない。ただ、いつか共存できると信じ、途中まででもいいから向き合うんです」

 今春初めて挑んだ短編小説も収録した。本業の作家からも、小説執筆を期待する声があがる。「文壇は汚しちゃいけない、土足で上がっていい世界ではないですよ」と遠慮がちだが、豊かな才能は文学の世界でも花開きそうだ。(文春文庫・660円+税)

                   ◇

【プロフィル】壇蜜

 だん・みつ 昭和55年、秋田県生まれ。タレント。バラエティー、書評番組に出演。文芸誌「オール読物」10月号に『桂花故事』掲載。

産経新聞
2016年10月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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