『刀装具ワンダーランド』 川見典久著、協力・黒川古文化研究所

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刀装具ワンダーランド

『刀装具ワンダーランド』

著者
川見典久 [著]/黒川古文化研究所協力 [協力]
出版社
創元社
ISBN
9784422710181
発売日
2016/09/27
価格
2,484円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『刀装具ワンダーランド』 川見典久著、協力・黒川古文化研究所

 日本刀については門外漢で、鐔(つば)、目貫(めぬき)、笄(こうがい)など付随する「刀装具」なるものにかくも美意識が凝らされていたとは思いも及ばなかった。本書は江戸時代の武士が所持する刀剣を飾った刀装具を、写真で紹介する。

 上は狂歌文鐔(1830年、作・河野春明、6・2センチ)。寛政の改革のころ流行(はや)った落首「曲がりても杓子(しゃくし)は物をすくうなり すぐなようでも潰すすりこぎ」がもとという。曲がっていたが人々の生活を救う面があった田沼意次、倹約の徹底、度を越した真っすぐさが庶民の暮らしをすり潰すことにもなった松平定信。両者の対比が杓子の透かしとすり鉢、すりこぎの彫りで表現される。

 ほかにも、前にのみ進むことから「勝虫」と尊ばれた蜻蛉(とんぼ)に「尚武」と同音の菖蒲(しょうぶ)の花を組み合わせ「勝負に勝つ」を寓意(ぐうい)した頭(かしら)(柄(つか)の頭頂部)など、斬新な意匠と技法の粋に目をみはる。撮影・深井純。(創元社、2300円)(史)

読売新聞
2016年10月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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