『ミッテラン』 ミシェル・ヴィノック著

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ミッテラン カトリック少年から社会主義者の大統領へ

『ミッテラン カトリック少年から社会主義者の大統領へ』

著者
ミシェル・ヴィノック [著]/大嶋 厚 [訳]
出版社
吉田書店
ISBN
9784905497431
発売日
2016/08/01
価格
4,212円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ミッテラン』 ミシェル・ヴィノック著

[レビュアー] 出口治明(ライフネット生命保険会長)

 ド・ゴールが創始したフランスの第5共和制で2期14年(最長記録)大統領の職にあったミッテランの評伝である。

 カトリック少年だったミッテランは第2次世界大戦でドイツの捕虜となるが3度目の試みで脱走に成功、ヴィシー政権で働くがレジスタンスに参加(彼の切り札となる機を見るに敏な両義性が早くも表れる)、戦後の第4共和制では長らく大臣を務めた。アルジェリア問題では法相として抑圧政策に加担、ド・ゴールへの権限移譲をクーデターとして糾弾した(そのせいで総選挙に落選)。左翼統一候補として、65年、74年と大統領選に出馬、81年、3度目の挑戦で大統領に当選した。死刑の廃止や国有化等社会主義的な政策を進めるが景気刺激策に失敗。総選挙に敗れて在任中2度のコアビタシオン(保革共存)を余儀なくされた。

 彼は権力のエピキュリアン(快楽主義者)でありルーブルのガラスのピラミッドや新凱旋(がいせん)門は王権の表現だったのだ。結局は、ド・ゴールとミッテランが第5共和制を共同設計したのである。文体は明晰(めいせき)で人物の造形描写にも優れた佳作である。大嶋厚訳。

 吉田書店 3900円

読売新聞
2016年10月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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