『まわり舞台の上で』荒木一郎著

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

『まわり舞台の上で』荒木一郎著

[レビュアー] 産経新聞社

 荒木一郎、昭和19年生まれ。天才と呼ぶべきか奇才と言うべきか。多彩な才能を持ち、俳優、シンガー・ソングライター、小説家として活躍するものの、奔放な言動で誤解されることの多い人物。入念に準備をしたインタビュアーに答える形で、荒木は破天荒な人生の裏表を率直に語ってゆく。

 浮き彫りになるのは、他人の才能を嗅ぎ取る抜群の嗅覚、金銭抜きでその才能を世に提示しようとする侠気(おとこぎ)だ。荒木は言う。「自己顕示みたいなところでやるっていうのは基本的にないんですよね」「自己実現のベースっていうのは常に人に利するっていうことだよね」(文遊社・3200円+税)

産経新聞
2016年10月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク