【聞きたい。】中川大地さん 『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』

インタビュー

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現代ゲーム全史

『現代ゲーム全史』

著者
中川 大地 [著]
出版社
早川書房
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784152096357
発売日
2016/08/24
価格
3,024円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

【聞きたい。】中川大地さん 『現代ゲーム全史 文明の遊戯史観から』

[レビュアー] 産経新聞社

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中川大地さん

 

■壮大な現代社会・文化論

 「デジタルゲームは人間のライフスタイルを変え、社会、文化、文明を形づくってきたのではないか。音楽、文芸、映画と同等の芸術として批評されてもいいはずだし、IT社会を支える大事なインフラとして改めて語る価値が出てきた」

 得意のアニメーション、デジタルゲーム、サブカルチャーをフィールドに旺盛な評論活動を展開してきた編集者、中川大地さん(42)が全570ページに及ぶ圧巻の分量でつづった本書は、世界のエンターテインメント市場を席巻してきた日米のデジタルゲーム史だ。

 デジタルゲームの母胎は、米国が第二次大戦中に核兵器開発の過程で発展させた電子計算技術。その技術はやがて戦後の日本に輸入され、独自の発展を遂げた後、いくつもの人気ソフトが生まれては米国へ輸出されることになった-と、日米ゲーム史を概観する。

 「デジタルゲームと名の付くものすべての歴史を語り尽くしたかったのではない。私はゲームの歴史を通して、日本を取り巻く世界の全体像、ひいては人類の文明がどのように見えてくるかを伝えたかった」

 昭和53年に日本中で大ブームとなったアーケードゲーム「スペースインベーダー」から、世界中の人々をいわゆるスマホ歩きさせた人気アプリ「ポケモンGO」に至るまで、中川さんは日本人におなじみのゲームにも言及。人間や社会へ与えた影響や未来の姿について丁寧に考察している。

 中でも現実の世界を舞台にスマホ画面上で人気キャラクター「ポケットモンスター」の捕獲などを楽しむ「ポケモンGO」の登場には強い関心を寄せ、「場所」の価値の変容についてこんな見立てをする。「今後は、人気キャラの登場の有無で、場所そのものが価値を持つ社会ができてきて、従来にはなかった大きな人の流れを作ることができるのではないか。観光振興を目指す自治体、祭り、イベントのPRなどに応用できそうだ」(早川書房・2800円+税)

                   ◇

【プロフィル】中川大地

 なかがわ・だいち 昭和49年、東京都生まれ。評論家。カルチャー雑誌『PLANETS』副編集長。

産経新聞
2016年10月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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